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KUROFUNE Kettlebell



格闘家のためのケトルベル&ケトルベルスポーツ
高橋里枝

高橋里枝

元MMA選手。現役時代は山田武士トレーナーに師事。
現在はケトルベルインストラクターとして、格闘家達にケトルベルの指導を行う。ケトルベルスポーツの大会にも積極的に参加しており、日本にケトルベルスポーツを広めるための活動をしている。
OKCJケトルベルインストラクター・NESTAハートレイトスペシャリスト・NESTAカーディオフィットネストレーナー資格保持

✯パーソナルトレーニングのご案内✯

時間(JBSPORTSジム営業時間外となります。)
月~土 9時~13時 のうち2時間指定
2時間1名6,000円 (2名合計10,000円・3名合計12,000円)
足立区西新井駅徒歩5分のJB SPORTS BOXINGGYM
〒121-0816 東京都足立区梅島3-11-19
TEL:03-3849-2211
BLOG http://ameblo.jp/kettlebell24kg/
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ナナクロ

1. ケトルベルってなあに?

ケトルベルはレジスタンストレーニングで使うツールの一つです。「変わった形のダンベル」だと思ってください。丸い鉄の球体に持ち手がついています。その見た目から、「ケトル(やかん)ベル」と呼ばれています。8キロから40キロくらいまで、4キロきざみで重くなっていくのが一般的です。日本では格闘家を中心に広まりました。

★ファイターに大人気のワケ★

①全身連動性を高めるクイックリフト系の種目がバーベルより容易であること。
②日本は狭いジムが多く、ラックやベンチ台のスペースをとれないことがあります。ケトルベルなら使うときだけ持ってきて、使わないときは隅に置いておけます。
③働きながら格闘技をしている人はなかなかフィジカルを鍛える時間がとれないため、家で行えるトレーニングとしてなどです♪(詳細は7へ)

ケトルベル

2. ケトルベルスポーツってなあに?

ベンチプレスがトレーニングにおさまらず競技となったように、ケトルベルもケトルベルスポーツ(ロシアではケトルベルのことをギラ・ギレと呼ぶので、ギレボイスポーツとも呼ばれます。以下GS)として広まりを見せており、世界各国、多い時には数百人規模の大会が開かれています。オリンピック競技にする活動も行われています。主なルールは10分間でケトルベルを何回上げられるかというもの。スナッチ・ジャーク・バイアスロン(スナッチとジャークの合計を競う)・ロングサイクル(クリーン&ジャーク)が主な種目で、スナッチは男女ともシングルベル(1つ)、他の種目は女性シングルベル。男性はダブルベル(2つ)です。
団体によって少しルールが違ったり、5分競技があったり、女性でもダブル種目があったりといろいろです。団体にはランキング表があり、いわゆる帯制度のように、この回数なら白帯、この回数なら黒帯・・と、明確に力量がわかるようになっています。体重が重い方が有利なため、競技は体重別で行います。(詳細は8へ)

ケトルベルスポーツ

3. ケトルベルを用意しよう!

ネットで「ケトルベル」と検索すると、いろいろなメーカーのベルがでてきます。鉄の塊なので送料が高いです。買う前に必ず確認しましょう!

★チェックポイント★

*ゴムコーティングの有無*
室内で絶対に汚れたくない!という人には必要。鉄なので、使っているうちに錆がでます。鉄塗装の場合、ダブルで使用する時はベル同士がぶつかって塗装がはがれます。持ち手はコーティング無しのむき出しになっているほうが私はやりやすいです。

*重量可変の有無*
重量可変式のベルもあります。プレートを付けたり外したりして調整するのですが、カチャカチャとうるさいし、ばらけそうな気がして私は集中できませんでした。

*メイドイン○○*
現在売られているベルの多くは中国製です。工場で何千個単位で作っているのでとても安いですが、持ち手はバリがあるものが多く、届いてから紙やすりで削らなければならないことがあります。重量の誤差が数百グラムあったり、溶接があまかったり、中でカラカラいうものまでありますが、安さは魅力的です。

*持ち手の太さ・細さ*
細すぎると手にくいこんでやりにくいし、太すぎると余計に握りこんでしまうので避けた方が無難です。「太いもので握力をつけたい・・・」のなら、一枚布をかんだり、滑り止めのないグローブをはめて行えばまかなえます。ローレット加工がついたものはオススメしません。

*持ち手と球体の間の空間(ウインドウといいます)*
手が大きい人はウインドウが狭いとうまく手を差し込めません。広すぎるとベルのコントロールが難しくなります。

*競技に使えるか否か*
大会用のケトルベルは、コンペティションケトルベルといって、8キロ~40キロまで同じ大きさです。12キロから16キロ、16キロから20キロへ・・・・と移行した時に、技術的な差がでないように(同じ動作でできるように)全部同じ大きさです。手の位置とか、足の開き具合とか。ダブルだったらなおさらですよね。 軽いものは中が空洞なのです。YouTubeでケトルベルの動画を検索した時に、外国女性がでっかいベルをニコニコと振っていて、「なんて怪力!」と驚いたことがありましたが、今思えばピンクノベルだったので8キロだったんですね。重量別で色分けされていて、どの団体もほぼ共通です。
ピンク8キロ→青12キロ→黄色16キロ→紫20キロ→緑24キロ→オレンジ28キロ→赤32キロ です。
不思議な色分けですよね。もし日本だったら、白・黄色・緑・青・紫・茶色・黒か、ピンク・白・黄色・水色・緑・茶色・黒・・・とかになりそう。
この色を覚えておくと、海外の映像を見たときに一発で重量がわかるので便利です。
OKCJの西ヘッドコーチは「赤色の10キロベル」を所持しているので、私がこれを振ってると講師の方がびっくりします(笑)

*オススメ*
私のオススメベルですが、もちろんコンペティションベルです。なぜなら多くのメーカーのベルは、持ち手を重量によって作り変えたりはしていません。ですので、16キロと32キロとでは持ち手と球体のスペースがかなり違ってきます。
こうなると、重量を上げた(または落とした)ときに、また異なる技術が必要になってしますのです。さらに良いことに、コンペティションモデルは10キロや14キロ、18キロなどの「中間」の重量があるのです。ダブルで使用する際、一気に8キロ増えると心が折れるので中間重量は非常に便利です。
どうせやるなら競技にも使えるし!「上手になったらちょっとGSチャレンジしてみよーかなー」って一石二鳥♪あ、あと底が広いのでレネゲートローはしやすいです(笑)
「日本製のコンペティションモデル」がベストですかね♪


4. ケトルベルの重量選択

「ケトルベルやりたいけど、まず最初に何キロ買えばいいの?」 よく話題になるとこですよね。よく言われるのは「ショルダープレスができるより、少し重い重量を買うと長く使える」ですかね?

わたしは・・

まったく運動をしていない 女性8キロ・男性12キロ
運動経験ありの 女性12キロ・男性16キロ
競技目的に使用する場合 女性12キロ・男性16キロ

で、おすすめしています。競技者でも16キロということに疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、16キロは一番使い勝手がいい重量だからです。

高重量・低回数をずっと望むなら、4キロ刻みのケトルベルよりも、バーベルのほうがいいのではと思うからです。28キロダブルから32キロダブルですと実に8キロの差がでてしまいます。

ケトルベルの良いところはクイック種目が容易であることなので、高重量・低回数でやりたくなるとは思いますが、私が実際にケトルベルに接してみて、多くの格闘家にやってもらいたいと感じたのは5分以上かけて行う長いトレーニングです。

スナッチやジャークだったら16キロ・5分で100回。10分で200回。3秒に一回のペースですね。20キロや24キロなら5秒で一回のペースでもいいかもしれません。

これで何が良くなるかといいますと、筋持久力がアップします。

特異性の原理というものがあります。これは、練習でもっとも利用された器官・組織に対して適応が起こる・・・ウエイトトレーニングなら筋肥大、マラソンなら持久的能力が向上するということです。 格闘家がレジスタンストレーニング!というと、筋肥大や連動性などばかりがクローズアップされますが、格闘技は1ラウンドだけ暴れられればいいわけではありません。
だから、ある程度の負荷を一定時間出し続けられる能力は、一定時間同じような負荷を出させなければ養いにくいのです。
ケトルベルの種目の多くは全身運動ですし。下半身だけでも上半身だけでも5分はできません。腹に力を入れたまま、いろいろな筋肉をゆるめたり、固めたりするのは、戦う動作にとても似ていると思います。

そしてもう一つ考慮していただきたいのは、いつ、どのようなトレーニングでケトルベルを使用するかということです。黒船では主にサーキットで、それも通常の練習終了後、へとへとの状態で行います。これは多いパターンはではないでしょうか?こういうフレッシュではない状態で高重量のクイック種目は非常に危険です。

ジムでみんなで使うならぜひ16キロ2つ。次に20キロ1つ。次に12キロ1つ。次に24キロ・・・と買うとメニューが広がります。(この買い方だと、メニューの指示がしやすいです)

少し極端な例ですが、ウエイトを定期的に行い、見た目もかなりマッチョで、ベンチは100キロ、ショルダープレスは20キロ余裕なのに、24キロスナッチが一回もできなかった選手がいました。

その一方、元ボクサーで細身、最近は運動まったくしてないってガリガリの人が24キロひょいひょいとしたりします。詳しく聞くと、前者はベンチやスクワットなどの種目だけで、クイック種目はやっていませんでした。後者は大学のアマチュア時代にパワークリーンやスナッチなどをやらされていたそうです。
前者のボクサーは「下半身の力を上半身に伝えること」や、「固定して力は出せるけど、不安定なところでは力発揮が苦手」なようです。
実際、実践でも出てしまっているので、ぜひケトルベルをウエイトメニューにとりこんで欲しいですね。ですので、重量選択の際は、「ウエイト経験」があるなら、「クイック種目の経験のあるなし」も判断要素かと思います。


5. ケトルベルのお悩みマメ対策 チョークを使いましょう!

ケトルベルトレーニングに絶対に避けて通れないのがマメ。
新しい靴をはくと足にマメができやすいように、最初はとくに手のひらがボロボロになります。だんだんできにくくはなりますが、高レップスをやったり、重い重量を扱えば、やはり剥けてしまします。マメがごつごつしてきたら、大きくなる前にヤスリで削ってもいいでしょう。マメで格闘技の何か(例えばミットやグラップリングスパー)ができなくるということはあまりないので(お風呂でしみるくらい)、アザや筋肉痛だと思って付き合っていきましょう。

*「あきらめて!」以外のアドバイス*

1、ケトルベルのハードな練習は1日おきにすること。(1日手の皮を休ませるとだいぶできにくくなります。)
2、もしマメがはがれてきたら、ナイフでマメにぐるりと切り込みをいれ、消毒し、絆創膏などで保護。このとき、その皮はとらないでかぶせること!皮がないと、新しい皮がなかなかできません。やけどと一緒ですね。翌日、皮をはがします。

グローブの使用

引越し用の軍手や、ウエイトリフティングのグローブなどはオススメしません。滑り止めがついているものは一見やりやすそうですが、手の中で持ち手がひっかかって動かないので高回数できませんし、単に手のひら保護のものは、余計に握らなければならないので前腕の消耗が激しくなり、すぐに握力がなくなります。素手が基本ですし、GSではグローブは使用禁止です。
マメが痛いけどケトルベルをしたいという方、スナッチやクリーンなど、手のひらでグリップが動く種目ではなく、プレスやローイング、ジャークならさほど痛みはありません。

チョークの使用

汗ですべるのを防ぐため、チョークは必ずつけましょう。スナッチでは特に必須です。チョークは粉が一般的ですが、液体のものもあります。液体のほうが飛び散らないので床がよごれません。
自分の手とベルにたっぷりと時間をかけて丁寧にチョークをつける人もいるし、ほとんどつけない人もいます。 ちなみに山田武士トレーナーは20年近くミットを持っているだけあって、手の皮が厚く、マメができたことがありません。チョークもいっさいつけません。「しっかり握ればいいだろ、軟弱なもんつかうなよ。」と言っていましたが、こういう人は稀です(笑)


6. ケトルベルを振ってみよう!

①基本種目に共通するもの&用語説明

・スタンス(足幅)
肩幅程度か肩幅よりやや広く。つま先は真っ直ぐorやや外側向き。ヒザの向きとつま先の向きを同じにすること。
・姿勢
背中を反ることはありますが、腰を曲げることはありません。腰を曲げて行うと腰痛の原因となります。
・ハングポジション
ベルを持ち、股の間で静止している状態。(足の間でぶらーんと持ってる状態のことです。)
・ロックアウト
頭上にベルをさし上げた状態のこと。スナッチと、ジャークの終着点です。
・ラックポジション
肘を曲げ、ベルが胸におさまった状態のこと。クリーンの後と、ジャークの前後がこの状態になります。肩関節の固い人はヒジが外に開いてしましますが、ヒジはお腹の上にくるようにします。

②ケトルベルの基本種目
スイング・クリーン・ジャーク・クリーン&ジャーク(ロングサイクル)・スナッチ

☆ワンハンドスイング☆

基本中の基本。ボクシングでいうとジャブみたいな種目です♪ウォーミングアップにも最適です。
「肩幅程度に足を開き立つ。片手でベルを持ち、股の間で振る。」
これだけ。単純に見えますがとても奥が深い種目です。
強度はベルの重さでも調整できますが、高く振るor床スレスレに振るor上がったベルを力で振り下ろすorスピードをあげる・・・と強度UP!ケトルベルスポーツでは「7時の位置」と呼ばれるくらい少ししか振りませんし、力まずブランコのようにゆったりと振ります。
スクワットのように膝を大きく前に曲げて振ると大腿四頭筋に効きますが、GSではデッドリフトのようにおしりを後ろに引き、臀筋とハムストリングスを使います。背面をうまくつ

指の向きはどうなってる?

GSは効率優先なので、ダウンスイング時(↓にいくときのスイング)、ベルはなるべく体から離さないようにします。ベルの移動距離が長くなればなるほど力を使うので、股ギリギリで振るのです。
このダウンスイングのとき、甲が前、親指が前、小指が前の3種類があります。
GSは親指前派か、小指前派の二つに分かれます。GSで使われるスポーツベルは持ち手が大きいため、甲が前だと角(ホーン)がふとももにあたってしまうのです。
小指が前だと、少し深くはいるので、より慣性の力を利用できます。親指が前だと距離が短い分パワーが必要になりますが、動作のロスが少ないです。
スナッチは男女ともシングルベル(一つ)なので、小指前のほうが多いそうです。
ロングサイクルになると、女性も男性も親指前が多数派。とくに男性はダブルなので、ほとんど親指前だそうです。私はスナッチでは小指前派。ロングサイクルでは親指前です。

いろいろなスイング

両手スイング  両手で持って振ります。
オルタネイトスイング  振り上げた地点でベルを持ち替え、左右交互に行います。
ダブルスイング  2つのベルを持ちスイングします。

☆クリーン☆

どの種目もそうですが、クリーンはもっとも「ケトルベルエコノミー」の差がでやすい種目だそうです。やればやるほど上手になる種目ですね。
ハングポジションからラックポジションへ。ベルを骨盤で支え、胸にストンと収めます。(これをキャッチといいます。)GSでは直線的にあげるのではなく、スイングしてラックポジションにもっていきます。胸にキャッチしたベルを前方に落とし(ドロップといいます)、スイングしてまたラックポジション・・・を繰り返します。ラックポジションで、上半身がまっすぐだと、ベルの重さで体が前にひっぱられます。この時ひっぱられないように、後ろに余計な力がかかっています。こうならないよう、上半身は少しそります。脚の下にベルの重心がくるようにするのです。

最初はベルがはねて体にあたって痛いと思います。勢いがつきすぎて毎回肩パン(胸だから胸パン?)されてるみたい。手首は信じられないくらい痛くなりますが、そのうちストンとあるべき場所におさまってくれるようになります。衝撃ゼロでおさまると、感動します♪

少し慣れてきたら・・・
スイングしたベルは前方に飛んでいきます。7時の位置まできたら一瞬腰を引くことにより、自分のほうに引き寄せます。そして引いた腰を戻し、ベルを迎えにいきます。右手でやるとしたら、スイング→7時の位置で右腰を一瞬引く→腰をすぐ戻しキャッチ。腰の動きは反対ですが、右ストレートを打ってまた腰をひく・・と同じ動作になります。

☆ジャーク☆

ラックポジションから、膝を一瞬まげ、伸びあがる力を利用してベルを頭上に跳ね体をベルの下に潜り込ませて一瞬静止。この時膝が曲がった状態でヒジがまっすぐであることがポイント。ここから、膝をのばしてロックアウト。膝とヒジを同時に伸ばすと、ジャークではなくプッシュプレスという種目になるのでGSではノーカウントとなります。下半身の力を上半身に伝え、さらに上半身を固めたまま下半身を動かす・・・格闘家にぜひやって欲しい種目です。わかりにくいときは、ベルを持たず、足を床につけたままジャンプの動作をしてみてください。体がふわっと上がるのがわかるはずです。この力を利用するのです。

☆クリーン&ジャーク☆(ロングサイクル)

クリーンしてジャーク! 通常は「クリーン→ラックポジションで休憩→ジャーク→肘を曲げて下におろしながらスイング→クリーン」のワンストップスタイルが主流ですが、「クリーン→ラックポジションで休憩→ジャーク→ラックポジションで休憩→スイング」のツーストップスタイルもあります。こちらはダブルの重いベルの時に行ったりします。
もちろんラックポジションで静止しないノンストップスタイルもありますが、非常に疲れます。サーキットでおすすめです。足幅は狭い方が力がでますが、あまり狭いとスイング時にベルが足の間を通りません。

☆スナッチ☆

ハングポジションから一気にロックアウトへ。おろすときに肘を曲げたり、胸で休んではいけません。GSでは直線的にあげるのではなく、スイングの慣性の力を利用してあげます。しかし、半円で上げて半円でおろすと、ケトルベルが体から離れすぎて、上げる時も下ろす時も余分な力を使ってしまいますし、前腕が常に力むのでグリップがもたなくなります。スイングで途中まであげて、ちょっと引いて上へ、おろすときは前方に投げたりせず、後ろに少し体をのけぞらせながら、重力にまかせるまま、まっすぐ下に落とすようにしましょう。
肩の関節が固い人はロックアウト時に頭と手が離れてしまいがちですが、手はまっすぐ頭にくっつけるようにしましょう。

少し慣れてきたら・・・① ロックアウト時のグリップ

ずっと握ったままだと、上でぐるんっとなって手首にゴンッとぶつかります。ゴンゴンやると、握力、前腕、肩に負担はかかるし、フォームも崩れし、呼吸も乱れるので高回数できません。
「ベルが上まできたら手をひらく」
・・・・は、半分正解。これでも手首の下(ヒジにちかいとこ)にあたって痛くなると思います。
上にあがる少し手前で(11時の位置です)ケトルベルを離して球体と持ち手の間(ウインドウといいます)に手を差し込むのです。これをハンドインサーションといいます。
ハンドインサーションが上手にできると、ケトルベルはほとんど衝撃なく頭上で固定されます。
(同じように、クリーンでもこのハンドインサーションを行います。)

慣れてきたら・・・・②  前腕の消耗を防ぐフィンガーフックグリップ

スナッチのスイング時、みなさんはあげるときもおろすときも手の中で握っていると思います。しかしGSではフィンガー(フック)グリップといって、指だけでベルをひっかけます。
フィンガーグリップができるようになると前腕が消耗しないし、マメもできにくくなります。
ですが、フィンガーグリップからハンドインサーション→またフィンガーグリップ・・・・は非常に難しいです。私は最初聞いたときに「はああああ?無理っしょ!」って冗談かと思って講師陣に質問しました。

Q  これ指もたなくないですか?握った方がいいのでは?
A  しっかり握ってしまうと前腕がすぐにパンパンになるのさ!
Q  え?一番上では手を開いて、ベルがななめで、そこから、指の位置にもっていくってできなくないですか?肩がガクンとなるんですけど・・・
A  できるさ!精進あるのみさ!

ケトルベル
ケトルベル

慣れてきたら・・・③ ハンドインサーションをもう少し詳しく

スナッチでベルを頭上にあげたとき、自分のベルを見てみましょう。持ち手の真ん中を握り、手の甲下の手首にベルの球体が触れ、その2点でベル支えていませんか?
GSでは上がったベルが無重力になった瞬間に、持ち手の角(ホーンといいます)に手を差し込み、親指と人差し指の間、小指側の手首、甲下の手首の3点でベルを支えます。こうすると、ベルがふらふらしないのでl、いちいち頭上で重いベルのバランスを調整する必要はなくなります。高回数&高重量行うためには必須の技術となります。

ケトルベル
ケトルベル
ケトルベル

7. 格闘家に送るスペシャルコラム

ケトル

①ケトルベルスポーツの技術は不要なの?格闘技にGSは役に立たない?

ケトルベルのコアなファンの方には、「GSの技術は実戦(格闘技)に使えない。エコノミー的な技術を使うのはよくない。」と耳にしたことがあるかもしれません。しかし、ここで注意したいのは、GS(ケトルベルスポーツ)と、ケトルベルで体を鍛えることは違うということです。

ベンチプレスで大胸筋を発達させ、筋力をアップし、格闘技に生かすことと、ベンチプレスをやりこんでベンチプレスの大会で好成績を残すことは似て非なるものなのです。
競技になってくると、たくさんのルール(衣服の制限や手幅・グリップの指定など)がありますし、おそろしいほどの技術(肘の曲げ方や、腰のそり、チョーキングなど)が必要になってきます。そして「エコノミー」といわれる「慣れ」。何回も何千回もその動作を行うことが必要です。
「ベンチプレスの競技会に出るわけではないので、じゃあ格闘家は寝差しだけやればいいのか?リフターに学ぶものはないのか?」っていうと、それも違いますよね?

ベンチプレスが格闘家のフィジカルを作るために絶対に必要なものだということはみなさんわかっているはずですし、ベンチプレスの選手にウエイトトレーニングのことを指導してもらうことはとてもいいことですよね。なんてったって、200キロ以上もあげちゃう専門家ですから。
動作効率が良くなると、扱う重量がとたんに増えます。例えば、20キロスナッチがギリギリの選手に、16キロ高回数を先にやらせると(もちろんここでGSの技術を教えます)、20キロが驚くほどすんなりできるようになります。20キロで練習を重ねるよりも明らかに成長が早いのです。
そして特に明記したいのは、スナッチのダウンスイング(ロックアウトから振り下ろす時)に、体幹を非常に良く使うということです。どうしてもあげることばかり意識してしまいますが、実は下ろす時にこそ、普段使わない緩急の使い方、バランス能力が鍛えられます。これは多くの有名選手が実感していることです。
タマゴ(重量)が先か、ひよこ(技術・数)が先かの話をするより、堂々とGSスタイルでやってみてください~♪UFCファイター川尻選手は週3以上GSスタイルで、ケトルベルを使用したトレーニングをしています。これがなによりの証明かと!

②ケトルベルでは「使える筋肉」がつく?ダンベルとの違い

たまに「ダンベルでは使える筋肉がつかないので、ケトルベルで使える筋肉をつけたいのですが」と頼まれたりしますが、そういう方にはまず誤解を解いてから教えることになります。
基本的に使える筋肉、使えない筋肉というのはありません。
ケトルベルはすばらしい器具ですが、過度な期待をしてはいけません。神秘の道具ではなく、大変な思いをしながら階段を昇るように一つ一つステップアップしていくのは、他のトレーニングも一緒です。変わったことをしているっていう「やった気」になるのが一番危険です。ケトルベルだって、キツイし、負荷だって回数だってセット数だってあげていかなければなりません。

ではどう違うのか?
一般的なウエイトトレーニングと比べ体へのアプローチが少し違うのです。

ケトルベルの利点の一つに、「クイック種目が比較的容易にできる」ということがあると思います。クイック種目っていうのは、スナッチ、ジャーク、クリーンなどのオリンピック種目ですね。下半身の力でエイヤッと上にあげる種目です。私はショルダープレスでは16キロはとってもきついのですが、ジャークやスナッチなら下半身の力を利用して40回できるわけです。
こういうバリスティックなトレーニングをすると、いわゆるゼロスタート・立ちあがりのスピードがつきます。MMAのタックルもそうですし、打撃の一発もそうですよね。

スピードをつけたい(動作速度を高めたい)→動作テクニックが必要
動作速度は筋力の表れ→動作テクニックは筋力をうまく利用できるということ
動作テクニックの実施には、質量と加速度の積である「力」をうまく利用しなければならない

図を見てください。

ケトル

赤線は非鍛錬者(なんにもしてない人)
紫は高重量レジスタンストレーニングした人(いわゆるウエイト)
緑はバリスティックトレーニングした人
黒の薄い線は200ミリ秒での力です。

これを見ると、ウエイトしている人(紫)は、最終的な力は大きいけど、立ちあがりはやってない人とほとんど変わりません。
バリスティックなトレをしている人は最終的な力はウエイトしている人に劣りますが、一瞬の力(黒マスの中の面積であらわされる)は一番大きいですよね。

格闘技界で著名なフィジカルトレーナーの方が「パワー系(バリスティック種目)をやらせたいけど、難しいからまずは基礎から(デッド、ベンチ、スクワットなど)。」と言っていました。そして、怪我をしやすいから、スナッチ等はさけてクリーンをやらせることが多いと。バーベルで行うパワー系種目はとっても難しいです。

長いバーの先に重りがつき、両手が固定されているバーでは高い技術が必要です。20キロのバーに10キロのプレートを2つつけてクリーン&ジャークするより、20キロ2つのケトルベルでおこなうほうが容易です。ケトルベルは関節の自由もきくし、最初はワンハンドでできますし。
オリンピックバーがなくてもできるって利点もあるのではないでしょうか?

オリンピックバーは回転するようになっていて、回転しない普通のバーだと、クイック種目をすると手首がグキッとなり痛めます。ジムにウエイトのセットはあっても、オリンピックバー(10万くらい)はないですよね。

③ケトルベルはサーキットに最適!

通常、サーキットトレーニングは高い心拍数を維持して行います。そのため、小さな筋肉だけ使う種目(アームカールなど)や、寝て行う種目(ベンチプレスなど)では心拍数が下がってしまいます。一つの部位だけに利かせる種目(ショルダープレスなど)は、疲れてしまうとできません。その点、全身運動であるスナッチやクリーンなら、一部分が疲れても全身の連動性でなんとかできます。スイング・スナッチ・クリーン・ジャークはサーキットにおすすめの種目なのです。
サーキットでは運動時間・セット数・レスト(休憩)・強度を設定します。
同じタバタトレーニングでも、「16キロなら20秒で10回できるけど、20キロなら7回しかできない」なら、強度が違うわけです。
途中でつぶれないで最後までできるなら、どちらも良い練習です。
「20キロでやって、最後のセットは3回しかできなかった。」となるなら重量を落としましょう。

慣れてきたら、運動時間を伸ばしたり、(ハイパワー目的なら、余りのばすと、違うエネルギー機構を使うようになってしまうので注意!)、セット数を増やしたり、休憩を短くしたり(これも注意が必要。回復していないうちにやってもダメな場合があります)、強度をあげたり(重いベルにしてみる)しましょう!種目を変えるのもいいですね!

オススメサーキット例

①タバタサーキット

例1.3つで一つのサーキットです。シングルベル。

床置きのオルタネイトスナッチ
20秒×8セット  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回繰り返す)

3分レスト

スイング&スクワット
20秒×8セット  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回)

3分レスト

クリーン&プレス
20秒×8セット(左右4セット交互)  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回)

例2.3つで一つのサーキットです。ダブルベル。

ダブルハイプル
20秒×8セット  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回)

3分レスト

レネゲートロー
20秒×8セット  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回)

3分レスト

ダブルクリーン&プレス
20秒×8セット(左右4セット交互)  10秒レスト(20秒やって10秒休むを8回)

②VOL2MAXサーキット

例1.シングルベル

床置きのオルタネイトスナッチ(スピード重視)
15秒×30セット 15秒レスト

例2.ダブルベル

ダブルジャーク
15秒×40セット 15秒レスト

③ミドルパワーサーキット

例1.シングルベル

ワンハンドスナッチ(左右交互)
40秒×10セット 1分レスト

例2.ダブルベル

ダブルクリーンプレス
40×10セット 1分レスト


8、ケトルベルスポーツ(GS)のススメ 日本人に合う寝技系スポーツ?

①ケトルベルスポーツとのファーストコンタクト

私はMMA選手時代にレジスタンストレーニングにケトルベルを使用したのがきっかけでした。
そのうち、ケトルベルスポーツっていうのがあるよって聞いて、最初の感想は・・・

「はあ?10分ずーっと、上げ続けるだけ?100回の速さを競うんじゃなくて?そんだけ?見てる人、どうやって応援すんの?超つまんないじゃん。絶対はやんないよ。え?アメリカで流行ってんの?専門の選手もいるの?理解できん。私、絶対しないわ。」

・・・って思ってました。しばらくその感想は変わらなくて、TEAM黒船でも心拍あげのサーキットやレジスタンストレーニングのために、ケトルベルを多用していました。
そのうち、せっかくだからちゃんとした知識と資格が欲しいなと思って練習を始めました。ケトルベルの資格は柔術の帯みたいなもので、資格をとる為にはお金を積んだりセミナーにでるだけじゃダメ。ある程度の重量で規定回数をクリアしなければならないのです

「10分かー、つまんなそうだけど、やるかー・・・・」

実際にやってみて、ケトルベルスポーツって日本人にすごく「合う」んじゃないかと思いました。日本人って「自分しだい」って状況が好き。試合前のコメントでも、相手どうこうよりも、自分の力を発揮したいという選手が多いですよね。
格闘技(とくに打撃)だと、相手が12キロベルと思っていたのに、8キロだったり、24キロだったりするじゃないですか。スナッチを予想していたのにロングサイクルだったり!試合時間が突如1分に変更になったり!
GSは12だったら12キロ!10分!どっちがキツイとか、どっちがすごいって話ではないですが。
同じような例ですが、自転車ロードレースの大会、日本では平地よりヒルクライムの大会の方が人気があるそう。
平地はスピードも速く、風の影響が大きいので、前に出るか、いつスパートするか、誰につくのかなど、状況や駆け引きの要素が非常に大きいです。チームで風よけになり強い人の力を温存したり、2位グループが順番に先頭を引っ張ってトップグループに合流したりと、展開が目まぐるしく変化します。一方ひたすら低い回転数で自分との戦いを続け、ゴリゴリと登っていくヒルクライム。性格も、スプリンターの方が血気盛んな人が多く、ヒルクライムはガンコながら穏やかな人が多いそうです。打撃と寝技みたいですね(笑)寝技もコツコツ系なので、日本で盛んですね。

ケトルベルは技術も細かくて、やってるとちょっとずつできるようになっていくのが目に見えてわかります。また10分という競技時間が絶妙で・・・3分だったらきっと生まれ持ったフィジカルがほとんどになると思うのですが、10分だと技術とエコノミー(努力)が大きく入り込んできます。そして我慢・忍耐のスポーツです。あるケトルベルリフターの名言があります。

「3分過ぎたら一緒」

不思議なことに、スタートから10分まで徐々にきつくなっていくわけではなく、3分すぎから10分までずーっと同じくらいキツイのです。「重いよー、つらいよー、置きたいよー。痛いよー。握力ないよー、前腕感覚ないよー、もういいや、やめよう・・・・でも、あと一回だけならできる・・・エイッ!あと一回だけならできる・・・エイッ!」を延々と続けるのです。
数字(回数や重量)でしっかりと成長がわかるし。目標も段階的に設けられているので、やる気もでます。「誰かができた」っていう認識はすごく大事です。今私は12キロでスナッチ150回できるのですが、もし資格が50回で、世界大会でもチャンピオンが100回だったら、私は50回しかできなかったと思います。まー、女性で24キロ200回レップスとか、できててもできるかいと思いますが(笑) 超えてやるというよりも、近づきたいという気持ちになれます。大人になって、成長が日々確認できるというのはとても楽しいことなんです。鉄の塊を通してアツイ気持ちになれるケトルベルスポーツ、おすすめです~。

②どの種目にしようかな・・・・ケトルベルスポーツでの種目選択

ケトルベルスポーツは10分間でケトルベルを何回上げられるかを競う競技です。基本種目は、スナッチ、ロングサイクル(クリーン&ジャーク)、ジャーク、バイアスロン(スナッチとジャークの合計を競う)です。

もちろん全部上手にできたらいいですが、ケトルベルはエコノミー(動作の効率性)が大きく反映されるので、やりこんだ方が有利・・・ってことで、最初は一つ種目を決めて集中的にやったほうがいいです。(OKCJの資格試験にバイアスロンは入っていません)

スナッチは男性も女性もケトルベルは一つ。ジャーク、ロングサイクルは男性は二つ、女性は一つです。体重が重いほうが有利なため、競技は体重別で行います。
目安ですが、OKCJのインストラクター資格をとるためには下に書いてある以上の回数をあげなければなりません。

まずはこのくらいを目標にやるといいと思います。

男性 16キロ

63kg↓ 68kg 73kg 78kg 85kg 95kg 105kg 105kg↑
スナッチ 114回 122回 130回 134回 140回 146回 152回 156回
ジャーク 110回 116回 122回 126回 130回 132回 136回 140回
ロングサイクル 54回 58回 62回 66回 70回 72回 74回 76回

女性 12キロ

48kg↓ 53kg 58kg 63kg 68kg 68kg↑
スナッチ 50回 60回 70回 80回 90回 100回
ジャーク 56回 68回 74回 80回 86回 92回
ロングサイクル 38回 48回 52回 56回 60回 64回

資格試験を受ける男性は、体重が軽いならスナッチ、重いならロングサイクルがおすすめです。なぜなら体重60キロの人ならスナッチは16キロで134レップスですが、100キロなら189レップスしなければなりません。
ロングサイクルなら100キロの人は72レップスでOKです。スナッチはいかに前腕の疲労を軽減するかがポイントなので、たとえパワーに自信があっても、「肩も脚も疲労はないのに握力が持たずスナッチできない・・・」という状態になることがあります。やりこまないとなかなか高回数できにくい種目なのです。
一つ問題は、ロングサイクルはベルが2つ必要だということです。最終的には種目選択は好みです♪